札幌の税理士事務所で働くスタッフのブログ

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消費税率引き上げ前の課税仕入れは必ずしもお得ではない

自分自身の職歴を振り返ってみると、準公務員や役務提供主体のサービス業などの経験はありましたが、物品販売を手がける機会はあまりありませんでした。このことで身につかない感覚がありました。

 

仕事をする上で原価計算の感覚は切っても切れないものですが、企業の中で担当する業務によってはこうした感覚を掴まずとも済んでしまうことも多いです。

 

特に材料や備品が本部から支給されるようなシステムで店舗に勤めていると、まるで必要なものが天から降ってくるような感覚が当たり前のようになってしまいます。

 

またそのことについてしっかりとした教育が意外と行われていないと感じる職場も多く、そのようなケースで費用対効果の話を朝礼でされても馬の耳に念仏というものだと思います。

 

これが物品販売業になると状況は一変します。仕入れに関してのことはまさに事業において死活問題です。より適切な価格と量を判断し、最も効率的なタイミングで手配することが必要です。

 

シビアな判断と実行力が問われるところで、このことがその事業のノウハウの中枢であることも珍しくありません。基本となる作業であることは経営状態にも直結することになります。

 

現在では消費税制度が導入されていますから、仕入れの際にも欠かせない税務となります。自らが直接の負担者でありつつ、販売するときは預かり者ともなる自覚が必要です。

 

この税務において今から気になるところが消費税率引き上げのタイミングです。一般的に仕入れを行なってから実際に商品が販売されるまでにはタイムラグが生じます。

 

このことは仕入れと販売のそれぞれの時点での消費税率が異なる可能性があることを意味します。単純に考えれば低い税率の時に多く仕入れておけば戦略的に有利に思えます。

 

実際に税制でも異なる税率で取り扱うことを認めています。消費税率引き上げの直前までに仕入れたものについては旧税率を用いて消費税額を算出することになります。

 

しかし注意が必要です。新年度の消費税の申告については売上時に発生した預かり消費税の金額から、仕入れ時に負担していた消費税額を差し引いた金額になります。

 

つまり仕入れ時の消費税額が少ないと申告時に収めるべき消費税額が大きくなることになります。日常的な資金繰りの中で、どのタイミングでそれだけの資金需要が発生するのかしっかりと把握しておく必要があります。

 

未だに消費税率の引き上げが実施されない可能性も含んでいますが、次期会計年度の切り替えの時にはいろいろと気をつけるべき点が多いことを今から覚悟しておく必要があると思う、ひとつの事例として考えてみました。

 

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