介護領域のノウハウは世界に通じる商材に
日本は少子高齢化とそれに伴う人口減のトレンドにより、構造的に経済発展が難しいフェーズに入ってしまいました。
医療保険制度、介護保険制度などが破綻しそうであるなど、非常に難しい局面を迎えている日本。
世界に先駆けて高年齢社会になったが故に、世界に前例がない難題に果敢に挑戦しているのです。
日本は保険制度だけでなく、営利非営利を問わず様々な企業や団体が高年齢者向けの介護福祉医療に関しての事業を行ってきました。
この蓄積によって、日本のシニア対策は世界の中でも先進的なものになっているのです。
日本だけでなく、いずれ多くの先進国、新興国が同じように少子高齢化の波に襲われることになります。
2020年にはヨーロッパが高年齢社会に突入し、アメリカや中国でも2030年にはシニア社会になると言われています。
そのときに、シニア対策のベテランとして、日本が培って来たノウハウやビジネスを世界に向けて輸出することができます。今の日本の困難が、未来の日本が誇る産業になりえるのです。
例えば、老人ホームというビジネスを見てみましょう。中国は一人っ子政策の影響で、日本と同じくらいのスピードで、日本とは比較にならない程の高年齢者人口を抱える事になります。
日本のある企業が、中国に進出しようとする動きが活発化しています。高級有料老人ホームを完成させたことがニュースになりました。
中国では医療介護保険が未整備であるので、保険が無くても金銭的に余裕のある富裕層のシニア向けに、サービスレベルの高い高級老人ホームビジネスを開始したのです。
最高級のホテルなみの施設に住んでもらおうというのがモットーで、年寄りに我慢させるのではなく、人生の総仕上げを楽しんでもらおうというスタンスが売りです。
このような日本のおもてなしの文化は世界的に見ても高く評価されており、この部分を意識的に磨いていけば、日本の持てる武器として世界に訴えかけることが可能になります。
また、介護事業で経験とノウハウがある日本企業に対して、中国の政府系企業や台湾系の医療介護大手企業から恊働ビジネスする依頼が来ているといいます。
日本は色々な規制があり、事業を営む側からすると非常に困難であると言います。
しかし、制度が無い海外だと、例えばサービスに見合ったプライシングを出来るなど、事業がよりし易いという声もあります。
今日本で介護ビジネスを含めたシニア向けのビジネスを展開している企業は、今後積極的に海外進出を検討すべきでしょう。
自社が当たり前だと思っているノウハウや資産が、世界では非常に高い競争力を持ちえます。