基本的な組織形態について
基本的な組織形態についてまとめていきたい。もっとも基本的な組織形態とされるのは、ライン組織である。これは直系組織ともよばれるように、部下は常に1人の上司からの指示を受け、また報告ができるよう、一直線の指揮命令系統による組織である。
ファヨールが提唱した、命令や指揮の一元性、権限と責任、階層組織といった管理原則に基づく組織でもある。ライン組織は、単純な階層組織で、権限と責任が明確であるので、組織での秩序や規律が保たれやすい。
ただし、規模が大きくなるにつれ、階層が増えると、コミュニケーションに時間がかかり、トップに権限が集中するため、意思決定の遅れなどが生じやすい。
ライン組織に対して、ファンクショナル組織とは、各職能を単位とした組織であり、職能組織または機能別組織ともよばれる。これは専門化の原則に基づく組織であり、テイラーが提唱した組織でもある。
ファンクショナル組織では、部下は職能に応じて、複数の上司を持つことになる。管理者にとっては仕事が専門化されて、専門能力が生かせること、負担が集中しない、また管理者の育成につながるとの利点がある。
しかし、指示を受ける部下にとっては、指示命令に違いや重複があるなど、命令の統一性に欠け、組織としては混乱を招く恐れがある。
ライン・アンド・スタッフ組織とは、ライン組織に加え、スタッフという専門家を置く組織であり、今日よくみられる組織である。
これはライン組織の命令一元化の原則を守りながら、ファンクショナル組織の専門性を生かすことできる、いわば両組織の利点を持つ組織といえる。さて、スタッフとはどういう組織を意味するのだろうか。
スタッフとは、職務を実行するラインに対して、助言や援助をする、いわば専門家やアドバイザーという存在である。ただし、そうした助言を受けても、職務の決定権はあくまでラインにあり、スタッフは職務やその遂行のための権限を持っていない。
このような説明は、ラインとスタッフ、およびライン組織とスタッフ組織についてあてはまるが、ライン部門とスタッフ部門というと、両者の機能と関連するが、実際には特定の職能部門を指して使われる。
すなわちライン部門とは、販売、製造、研究開発などその企業の商品・サービスの生産・販売に直結する部門を指し、スタッフ部門とは、総務、人事、経理、法規など、いわゆる間接部門のことを意味する。
また、スタッフには、人事・経理・技術などの専門スタッフ、購買・厚生・物流などのサービススタッフ、調査・企画・社長室などのゼネラルスタッフなど区別されることもある。