札幌の税理士事務所で働くスタッフのブログ

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企業を取り巻く法環境と刑事政策

企業を取り巻く法環境として、日本の刑事政策がどの程度関与しているのか、さらに日本の一般的刑事事件の現状について知る必要がある。

 

刑事事件の件数に関しては、社会に生起する犯罪の実態をできるだけ正確に把握しておくことは、犯罪への罰則や、犯罪者処遇のための有効な刑事政策を確立する上においても、必要なことである。

 

ここで、犯罪における「暗数」という概念がある。これは、「実際に発生した犯罪数と公式犯罪統計に記録された犯罪数の差」のことを意味するのであるが、実際問題として、個々の犯罪の発生を正確に記録することは不可能である。

 

なぜならば、いかに統計が完備していようとも、未発覚、未報告の犯罪は存在するからである。それゆえに、犯罪統計上、暗数は必ず存在するのであり、暗数の問題は犯罪や刑事政策を検討する上において、かならず留意しておかなければならない。

 

この暗数の意義については、犯罪学においても多く議論や研究がなされてきた分野であるが、実は、企業不祥事の発生原因や対策を考える上においても、大きく示唆する内容を有している。

 

本来の意味での暗数とは、①犯罪が行われたことは確かであるが、犯罪が警察に認知されず、したがって統計にあらわれない場合と、②犯罪が警察に認知されたが、まだ犯人が逮捕されていないために、公式に記録されない場合とがある。

 

前者の例としては、窃盗、賭博、堕胎、売春などの犯罪が、統計に現れない犯罪の統計の典型として考えられる。

 

毎年この種の未報告、未発覚の犯罪数がどの程度発生するのかを知る方法は、いまだ確立されていない。

 

しかし、多くの企業、会社、家族、近隣などが、種々の紛争を内々に示談や話合いなどの非公式の方法によって解決をしているという事実も含めると、その数は膨大なものと推測される。

 

後者では、特に検挙率との関係で、日本は世界的にも高い検挙率を誇っており、近年では約70%であるが、逆に約30%は暗数となって、裁判や行政段階での犯罪統計には現れてこないという事実がある。

 

この非公式に処理されうる犯罪領域、そして場合によっては警察に認知されずに済む犯罪領域が存在することが、一つに、社会的体面を重視する大企業にとって内々に物事を処理する体質を生み出し、結果的に、より悪質な犯罪を生起させる温床となっている点。

 

さらに、犯罪を犯罪として意識しないまま見過ごしてしまう体質を生み出している原因となって働いているのである。

 

犯罪には、①事実上の損害が発生し、被害が人もしくは社会に及ぶものと、②組織維持上の規律違反として法形式を破る犯罪とに二大別される。

 

企業犯罪のうち前者は、被害者からの能動的請求により民事的解決が図られるが、後者は、告発を待たなければ改善されることは無く、また日本社会においては、後者を真の犯罪として捉えることなく寛大に判断する傾向が強い。

 

長年たっても総会屋事件やインサイダー取引、談合などの企業不祥事が無くならない原因の一つがここに存在するのである。

 

これらも、広い意味では最終的に企業の利害関係者や納税者に対して、不利益という実損を被喝せることになるのだが、市民意識がそこまでいたっていないのである。

 

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