札幌の税理士事務所で働くスタッフのブログ

札幌の税理士事務所で働きながら、様々な角度から記事を書いています。

法人の従属法について

法人の従属法について書いていく。法人は、いずれかの国の法により法人格を認められて初めて法律上の権利主体になるから、継続して活動するための組織や機関も通常は特定法域の法にもとづいて構成される。

 

したがって、法人の成立、組織および機関、法人格の範囲などの問題には、各事項間の矛盾を避けるため、原則として同一法域の法を適用する必要がある。このように法人の問題一般に対して適用されるべき準拠法を、法人の従属法という。

 

法人の準拠法を決定する基準、つまり法人従属法を決定するための連結点に関しては、日本の法例および法適用通則法に明文規定のないことから、民商法などの実質法も考慮され、さまざまな見解が主張されてきた。

 

さらに最近では、従来の見解を再構成し、それぞれの欠点を相互に補完させようとする理論も提唱されている。

 

また、法人の問題一般といっても内容は幅広く、実務上さまざまな問題が生じ得るため、法人の従属法がどのような事項にどのような範囲で適用されるのかについても検討しなければならない。

 

法適用通則法には法人に関する明文の規定がない。そこで、法人従属法の連結点につき、重視する連結政策の相違によって、多様な解釈の成立する余地がある。

 

これまでのところ、法人が設立の際に準拠した法の所属地を連結点とする設立準拠法説および法人の本拠地を連結点とする本拠地法説という二つの立場が有力である。

 

設立準拠法説は主に英米法系諸国および一部の大陸法系諸国において採用されており、本拠地法説は大陸法系諸国の多くで支持されている。日本では設立準拠法説が多数説である。

 

前者の設立準拠法説の根拠は、国際取引に限らず法人に法人格を付与し一般的権利能力を認めたのがまさに設立準拠法であること、事実上の本拠地を移転しても従属法が変更されず一定であることなどである。

 

設立準拠法説は、法人設立地の選択の自由を当事者に認めるものであるから、法例の採用する当事者自治の原則とも矛盾しない。

 

また、日本で継続して取引を行なう外国会社は設立準拠法の登記を要求されるため、設立準拠法説によれば、多くの場合に取引の関係者にとって従属法の確認が容易になる。

 

さらに、設立準拠法を基準に内外国の法人あるいは会社を区別する民商法の関連規定との整合性も、日本において設立準拠法説を採用すべき根拠の一つに挙げられている。

 

後者の本拠地法説は、業務統括地または営業の中心地という法人の本拠地こそが現実に法人と最も密接な関係にあることを重視するものである。

 

本拠地法説によれば、そもそも本拠地での法人設立が要求され、その上で本拠地法が従届法として適用されることになるから、本拠地法説は、本拠地での法人設立を加重要件とする設立準拠法説とも理解し得る。

 

札幌で税理士を選ぶなら税理士札幌ドットコムがおススメです。